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東京都立産業技術研究センターの公募型共同研究にMetComが採択されました~地上波システムによるローカル5G向け次世代時刻配信システム~

 このたび地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター(都産技研)が主催する「クラウドと連携した5G・IoT・ロボット製品開発等支援事業」の開発型研究にMetComの研究テーマ「地上PNT によるL5G への高精度時刻配信」が採択されましたのでお知らせします。

 本研究は、MetComの地上波PNT(Positioning, Navigation, Timing)システムと、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の準天頂衛星「みちびき」によるMADOCA-PPP(*)を組み合わせて高精度時刻配信システムを構築し、高精度時刻同期を必要とする通信業界、とりわけ時刻精度に対する要求水準が高く屋内利用頻度の高いローカル5G(L5G)基地局に対し、高精度時刻情報を無線供給するものです。

(*)MADOCA-PPP: Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis – Precise Point Positioning
MADOCA-PPPは、MADOCA(JAXAが開発した複数GNSS対応高精度軌道時刻推定を実現するソフトウェア)により生成された補強情報により、cm級測位を実現するための、高精度測位補強サービス。

■背景と研究内容
 現在、多くのローカル5G基地局では、時刻同期信号をGPSなどのGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星から取得しています。 しかし、GNSS信号は屋内での受信が困難であるため、屋上にGNSSアンテナを設置し、そこからケーブルを屋内に引き込む必要があり、高額な設置工事費が課題となっています。

 MetComの地上波PNTシステムは、地上局から高出力の時刻同期信号を発信するものであり、その電波受信強度はGNSSと比較して最大で10万倍に達します。これにより、屋内での利用が中心となるローカル5G基地局における設置上の課題を解消することが可能です。

 しかし、現時点の地上波PNTシステムでは、時刻同期の基準源としてGPS信号を利用しているため、時刻精度はGPSに依存しており、妨害やなりすまし攻撃に対する耐性に課題が残されています。

 本共同研究では、GPSの代替として、準天頂衛星「みちびき」による MADOCA-PPP を時刻同期源として採用します。これにより、より高精度な時刻同期を実現するとともに、妨害・なりすましへの耐性を強化し、ローカル5G基地局に対して高い可用性を備えた時刻同期システムを提供することを目指します。

■本研究によって期待される効果
 高精度・高可用性が求められるローカル5G基地局に対し、配線工事不要の、無線による時刻配信を実現するだけでなく、一般的なGNSS比で100倍高精度のMADOCA-PPPを活用することにより時刻精度を大幅に向上させ、GNSSよりも高い妨害・ジャミング耐性も実現します。

 これにより、ローカル5Gの更なる普及に向け、普及拡大の鍵となる基地局の導入コストを削減しつつ、精度向上、可用性向上を通じて、工場自動化やIoTデバイス同期、BCPソリューションへの応用可能性を広げます。

(参考)東京都立産業技術研究センターによるプレスリリース 公募型共同研究の採択テーマを決定! -クラウドと連携した5G・IoT・ロボット製品開発等支援事業-
https://www.iri-tokyo.jp/news/press-2025-06-26/